1-4
自用の建物及びその敷地(以下、自建)
不動産の類型(有形的利用・権利関係の態様)は、
種別(用途による分類)とともに
不動産の経済価値を本質的に決定づけるので、
類型に応じた適切な要因の分析や
評価手法の適用を行う必要がある。
自建とは
建物所有者とその敷地の所有者とが
同一人であり、
その所有者による使用収益を制約する権利の
付着していない場合における当該敷地と建物。
自建の特徴
①直ちに需要者の用に
供することが出来るので、
②取引当事者は、価格の三面性
(費用性/市場性/収益性)を
等しく考慮して取引意思決定する。
したがって、
自建の鑑定評価額
①原価法による積算価格
②取事比法による比準価格
③収還法による収益価格
を関連づけて決定する。
貸家及びその敷地(以下、貸家)
貸家とは
建物所有者とその敷地の所有者とが
同一人であるが、
建物が賃貸借に供されている場合
における当該敷建。
貸家は
①借地人が居付であるので、
②直ちに需要者のように供することが出来ず、
③取引当事者(投資家)は、
投資用不動産として
収益性を重視して取引意思決定する。
したがって、
貸家鑑定評価額は
①実際実質賃料
(売主が既に受領した一時金のうち
売買等にあたって
買主に承継されない部分がある場合には、
当該部分の運用益償却額を
含まないものとする)
に基づく純収益等の現在価値の総和
を求めることにより得た収益価格を標準とし、
②積算価格
③比準価格
を比較考量して決定する。
借地権付建物(以下、借建)
借建とは
借地権を権原とする建物が存する場合における当該建物およびその借地権
借建鑑定評価額は
当該建物を借地人が使用しているものについての鑑定評価額は、
①原価法による積算価格
②取事比法による比準価格
③収還法による収益価格
を関連づけて決定する。
借地権の価格を求めるにあたっては
①借地権の取引慣行の成熟の程度によって
適用する方法が異なるため、
②借地権に係る地域分析及び個別分析を行い、
③借地権の態様や取引慣行を
明確にしなければならない。
借建鑑定評価額(貸家)の場合
当該建物が賃貸されているものについての
鑑定評価額は、
①実際実質賃料に基づく純収益の
現在価値の総和
を求めることにより得た収益価格を標準とし、
②原価法による積算価格
③取事比法による比準価格
を比較考量して決定する。
還元方法について
旧法に基づく借地権や、
借地借家法に基づく
いわゆる普通借地権の場合、
契約期間が満了しても契約更新される可能性が高い。
しかし、
定期借地権の場合、通常、
契約期間の満了に伴って
確定的に契約が終了する。
したがって、
残存契約期間の短い定期借地権付建物の場合、
直接還元法の適用に当たっては、
有期還元法のモデルである
インウッド式(初年度純収益×複利年金現価率+復帰価格×複利現価率)
を採用し、
DCF法の適用に当たっては、
当該残存期間を分析期間と設定することが、
それぞれ合理的と考えられる。
区分所有建物及びその敷地の評価・意義・留意点
区分所有建物及びその敷地の定義
①第2条第3項に規定する専有部分
②当該専有部分に係る第2条第4項に規定する
共用部分の共有持分
③第2条第6項に規定する敷地利用権
区分所有建物およびその敷地で、
専有部分を区分所有者が使用しているものについての鑑定評価額
①原価法による積算価格
②取事比法による比準価格
③収益還元法による収益価格
を関連付けて決定するものとする。
区分所有建物およびその敷地で、専有部分が賃貸されているものについての鑑定評価額
①実際実質賃料
(売主が既に受領した一時金のうち
売買等にあたって
買主に承継されない部分がある場合には、
当該部分の運用益及び償却額を
含まないものとする。)
に基づく純収益の現在価値の総和
を求めることにより得た収益価格を標準とし、
②積算価格及び比準価格を
比較考量して決定するものとする。
Ex)対象不動産に経済価値のある専用庭が付着しているとき
原価法
区分所有建物及びその敷地の積算価格は、
①区分所有建物の対象となっている
一棟の建物及びその敷地の積算価格を求め、
②当該積算価格に当該一棟の建物の
階層別・同一階層内の位置別効用比
により求めた配分率を
乗ずることにより求める。
③本件庭は専用部分の個別的要因として
配分率の査定の中で反映させるか、
配分率を乗じた後に個別修正として
反映させる。
個別的要因の比較に反映させると同時に、
取引事例選択の際の判断材料としても活用
■不動産の種類を判定する意義
不動産の鑑定評価においては、
①不動産の地域性
②有形的利用
③権利関係の態様
に応じた分析を行う必要があり、
その地域の特性等に基づく
不動産の種類ごとに検討することが
重要である。
不動産の種類とは、
①不動産の種別と類型の二面からなる
複合的な不動産の概念を示すものであり、
②この不動産の種別と類型が
不動産の経済価値を本質的に決定づける
ものであるから、
③この両面の分析を待って
初めて精度の高い鑑定評価が
可能となるのである。
不動産の種別とは、
不動産の用途に関して区分される
不動産の分類をいい、
①地域の種別と、
②地域の種別に応じて区分される
土地の種別とがある。
地域の種別
①宅地/農地/林地地域に分けられる。
②宅地地域は、住宅/商業/工業地域に
細分され、
③さらにその規模/構成の内容/機能等に
応じた細分化が考えられる。
土地の種別
①地域の種別に応じて区分される
土地の区分であり、
②宅地/農地/林地/見込地/移行地に分けられ、
③さらに地域の種別の細分に応じて
細分される。
不動産の類型とは、
①不動産の有形的利用
②権利関係の態様
に応じて区分される不動産の分類をいう。
■不動産の種別を判定する意義
不動産の地域性
不動産は、
①他の不動産と共に、
用途的に同質性を有する一定の地域
(用途的地域)を構成して、
②用途的地域に属することを通常とし、
地域の特性
地域は、
①その規模
②構成の内容
③機能等
にわたって
それぞれ他の地域と区別されるべき特性
を有している。
用途的地域
①用途的地域には、
その地域の特性に応じた一定の価格水準
が形成されるとともに、
②地域内の不動産の価格は、
この地域の価格水準という大枠の下で
個別的に形成される。
したがって、
不動産の鑑定評価にあたっては、
①対象不動産が属する用途的地域の種別と
②対象不動産の種別を的確に判定し、
③当該種別に応じた
市場参加者の観点に立って、
④各手順における分析判断を行わなければならない。
不動産の種別の分類は、
①不動産の鑑定評価における
地域分析・個別分析・鑑定評価手法の適用等の
各手順を通じて重要な事項となっており、
②これらを的確に分類整理することは
鑑定評価の精密さを一段と高めるものである。
不動産の種別の細分化の必要性
不動産の鑑定評価に当たっては、
価格形成要因を市場参加者の観点から
把握・分析することが必要であるが、
一般に
市場参加者の意思決定基準は、
対象となる不動産の種別により異なり、
それは、
種別を細分化することで
より純化されるものである。
したがって、
鑑定評価の精度を高めるため、
不動産の種別は出来るだけ細分化すべき。
■不動産の種類が不動産の経済価値を決定する理由
不動産の在り方と経済価値
土地は
その持つ有用性のゆえに、
すべての国民の生活と活動とに
欠くことのできない基盤である。
そして、
この土地を人間が各般の目的のために
どのように利用しているかという
土地と人間との関係は、
不動産の在り方、
すなわち、
不動産がどのように構成され、
どのように貢献しているかということに
具体的に現れる。
この場合における構成とは、
不動産の有形的利用及び
権利関係の態様(類型)を意味し、
この場合における貢献とは、
不動産の用途(種別)を意味する。
この不動産の在り方は、
①価格形成要因の相互作用によって
決定されるとともに、
②経済価値の本質を決定づけている。
不動産の種別と経済価値
不動産は他の不動産と共に、
用途的に同質性を有する一定の地域を構成し、
これに属することを通常とし、
地域は、
その規模/構成の内容/機能等にわたって
それぞれ他の地域と区別されるべき特性を
有している。
不動産の属する用途的地域は、
他の用途的地域との相互関係を通じて
その社会経済的位置を占め、
個別の不動産は、
地域内の他の不動産との関係を通じて
その社会的経済的有用性を発揮する。
すなわち、
不動産が構成する用途的地域ごとに
価格水準が構成され、
個別の不動産の価格は、
地域の価格水準という大枠の中で個別的に形成される。
従って、
不動産の種別(用途)は
不動産の経済価値の本質を決定づける
ということができる。
不動産の類型と経済価値
不動産は、
土地の持つ諸特性(自然的/人文的特性)
に照応する特定の自然的/人文的条件を
与件として利用され、
その社会的経済的有用性を発揮する。
また、
不動産の価格は、
その不動産に関する
①所有権、賃借権等の権利の対価
②経済的利益の対価であり、
二つ以上の権利利益が
同一の不動産の上に存する場合には、
それぞれの権利利益について、
その価格が形成されうる。
従って、
不動産の類型(有形的利用/権利関係の態様)は、
不動産の経済価値の本質を決定づける
といえる。
■商業地
商業地とは、
商業活動の用に供される建物・建築物等の敷地の用に供されることが、
自然的/社会的/経済的/行政的観点からみて
合理的と判断される地域をいう。
商業地の同一需給圏は、高度商業地については、
①一般に広域的な商業背後地を基礎に成り立つ商業収益に関して、
②代替性の及ぶ範囲に一致する傾向があり、
③その範囲は高度商業地の性格に応じて広域的に形成される傾向あり。
商業地は、
通常「収益性」に応じた
価格形成がなされるため
その同一需給圏は、
主として投資対象として代替性
の認められる不動産の存する範囲として判定される。
■業務高度商業地域の地域分析において重視すべき地域要因
不動産の種別とは:
不動産の用途に関して区分される不動産の分類をいい、
地域の種別と土地の種別に分けられる。
商業地域とは、
商業活動の用に供される建物、構築物等
の用に供されることが合理的と判断される地域をいい、
その規模構成の内容機能等に応じて、
一般に、
地域の種別ごとに
不動産の価格を決定する市場参加者が期待する効用が異なるため、
地域の種別ごとに重視すべき地域要因も異なる。
業務高度商業地域は、
都心部において収益性の極めて高い高層事務所ビルが立ち並ぶ地域であり、
当該地域における主たる市場参加者としては、
自社物件を求める大手法人・賃貸収入目的の投資家等が考えられる。
当該市場参加者は「収益性」を重視して価格判断を行うため、
鑑定評価においても同様の視点に立ち、
当該地域の収益性に特に影響を与える、
業務施設の種類規模、
集積度等の状態、
繁華性の程度及び盛衰の動向、
行政上の規制(容積率等)
の地域要因に重点を置いた分析が必要である。
■住宅地
住宅地とは、
居住の用に供される建物・建築物等の敷地の用に供されることが、
自然的社会的経済的行政的観点からみて
合理的と判断される地域 をいう。
住宅地の同一需給圏は、
①一般に都心への通勤可能な地域の範囲に一致する傾向がある。
ただし、
②地縁的選好性により、地域的範囲が狭められる傾向があり、また
③地域の名声、品位等による選好性の強さが
同一需給圏の地域的範囲に特に影響を与える場合があることに留意する。
■宅地見込地と法則性
土地の種別は、
地域の種別に応じて分類される土地の区分であり、
宅地/農地/林地/移行地/見込地等に分けられ、
さらに地域の種別の細分に応じて細分される。
宅地見込地とは
①宅地地域とその他の種別の地域の相互間において、
②その他の種別の地域から宅地地域へと
転換しつつある地域のうちにある土地をいう。
熟成度の高い宅地見込地の鑑定評価額は、
①比準価格 及び
②当該見込地について、
価格時点において、
転換後・造成後の更地を想定し、
その価格(更地価格)から通常の造成費相当額 及び
発注者が負担すべき通常の付帯費用を控除し、
その額を当該見込地の熟成度に応じて
適切に修正して得た額
(この手法を「控除法」という。)
を関連付けて決定するものとする。
また、
熟成度の低い宅地見込地を鑑定評価する場合には、
①比準価格を標準とし、
②転換前の土地の種別に基づく価格に、
宅地となる期待性を加味して
得た額を比較考量して決定するものとする。
宅地見込地の鑑定評価額は
①当該宅地見込地の熟成度、すなわち、
②宅地開発事業に着手できる合理的状況が整うまでの期間及び
③その蓋然性により、
④適用する鑑定評価の手法が異なる。
したがって、
鑑定評価手法の適用に際しては、
①当該宅地見込地の熟成の程度を、
②地域分析及び個別分析を通じて、
③的確に判定することが前提となる。
なお、宅地見込地の鑑定評価においては、
熟成度が高い場合には、転換後の用途的地域の地域要因個別的要因をより重視すべき。
熟成度が低い場合には、転換前の用途的地域の地域要因個別的要因をより重視すべき。
その際、
①変動の原則及び予測の原則を活用して、
②宅地への転換の程度を適切に把握し、
③転換すると見込まれる転換後の種別の
④地域、土地に係る地域要因個別的要因を重視すべきであるが、
転換の程度の低い場合においては、
①転換前の種別の地域・土地に係る地域要因・個別的要因をより重視すべきである。
地域分析に当たっては、
①対象不動産に係る市場の特性の把握の結果を踏まえて、
②地域要因及び標準的使用の現状と、
③将来の動向とを合わせて分析し、
④標準的使用を判定しなければならない。
その際、
価格形成要因は変動の過程にあることを踏まえ、
①変動の原則を活用して近隣地域の過去からの推移を、
②予測の原則を活用して近隣地域の将来の動向を、
③それぞれ把握分析しなければならない。
更に、
①都市の外延的発展を促進する要因の近隣地域に及ぼす影響度、
②当該宅地見込地の宅地化を助長し、または
阻害している行政上の措置又は規制、
③付近における公共施設公益的施設の
整備動向、
④付近における住宅店舗工場等の建設の動向を総合的に勘案する必要がある。
また、地域分析の結果を踏まえ、
最有効使用の原則を活用して
個別分析により対象不動産の最有効使用を判定しなければならない。
その際、
宅地見込地のように、
特に価格形成要因に影響を与える
地域要因の変動が
客観的に予測される場合には、
変動の原則を活用して、
当該変動に伴い対象不動産の使用方法が
変化する可能性があることを勘案して
最有効使用を判定する必要がある。
地域要因の変動の予測に当っては、
①予測の原則を活用して、
②予測の限界を踏まえ、
③鑑定評価を行う時点で一般的に収集可能かつ
④信頼できる情報に基づく
⑤当該変動の時期及び
⑤具体的内容についての
⑥実現の蓋然性の高いことが認められなければならない。
さらに、
宅地見込地に最有効使用の原則を活用する場合には、
①造成の難易 及び
②その必要の程度、
③造成後の宅地としての有効利用度
を総合的に勘案する必要がある。
控除法
当該見込地について、
価格時点において、
転換後・造成後の更地を想定し、
その価格から通常の造成費相当額 及び
発注者が負担すべき通常の付帯費用を控除し、
その額を当該見込地の熟成度に応じて
適切に修正して得た額
。
熟成度修正
①鑑定評価の対象となる宅地見込地の存する地域が、
②自然社会経済行政的要因の影響により
③宅地地域化する期間 及び
④蓋然性
⑤に応じて減額修正すること。
熟成度の判定に当たっては、
①周辺地域の地域要因の変化の推移、動向が
②それらの地域の土地の変化の動向予測に
当たって有効な資料となる。
さらに、
次の4事項を総合的に勘案すべき。
①都市の外延的発展を促進する要因の地域要因に及ぼす影響度
②付近における公共施設及び公益的施設の整備の動向
公共施設及び公益的施設の整備等のインフラの整備状況は、
宅地見込地が宅地化するまでの期間及び
転換後の宅地に関する需要、価格水準等に影響を及ぼす。
公共施設等に関する地域要因の動向は、
市町村等の地域開発計画等から把握することが可能であり、
これらの分析により当該宅地見込地の存する
地域の熟成度を判断する資料ができる。
③付近における住宅、店舗、工場地等の建設の動向
近隣地域及びその周辺の地域における住宅店舗工場等の
建設の動向を考察することにより、
当該宅地見込地の存する地域が宅地地域に転換する時期及び
転換後の当該地域内における最有効使用を判断することができる。
具体的には、周辺地域において工場の建設が予定されている場合には、
工場完成後に工場勤務者による住宅需要が見込めるため、
熟成度の判定に当たっては、
工場の規模、完成時期等を分析することとなる。
④造成の難易 及び その必要の程度。
付近における道路等の公共施設の整備の状況、
当該宅地見込地の地質地盤形状地表の状態及び
転換後における最有効使用を把握することにより、
造成工事の難易、造成に要する期間及び費用等を判断することが出来る。
造成工事の難易や期間によっては、
開発に着手する時期が遅れるなど
宅地地域化する期間に影響を及ぼすため、
熟成度の判定に当たっては、
当該宅地見込地の地盤・形状等の個別的要因や
付近における造成事例を分析して、
造成に要する期間等を把握する必要がある。
不動産の価格は、
①不動産の効用
②相対的希少性
③不動産に対する有効需要
の三者に影響を与える諸要因の相互作用によって形成されるが、
①その価格形成過程を考察するとき、
そこに基本的な法則性を認めることが出来る。
②不動産の鑑定評価は、
その不動産の価格形成過程を追及し、
分析することを本質とするものであるから、
③不動産の経済価値に関する適切な最終判断に到達するためには、
④鑑定評価に必要な指針としてこれらの法則性を認識し、かつ、
⑤これらを具体的に現した
不動産の価格に関する諸原則を活用すべきである。
これらの原則は、
①一般の経済法則に基礎を置くものであるが、
②鑑定評価の立場からこれを認識し、
表現したものである。
なお、
これらの原則は、
孤立しているものではなく、
直接的又は間接的に
相互に関連しているものであることに
留意しなければならない。
■最有効使用
不動産の価格は、
その不動産の効用が
最高度に発揮される可能性に最も富む使用(最有効使用)
を前提として把握される価格を標準として形成される。
この場合の最有効使用は、
現実の社会経済情勢の下で客観的に見て、
良識と通常の使用能力をもつ人による
合理的かつ合法的な
最高最善の使用方法に基づくものである。
不動産、
特に土地は用途の多様性という人文的特性を有するため、
同一の不動産について
異なった使用方法を前提とする需要が競合する。
需要者の間に競争が生じる結果、
最も高い価格を提示できる者がその不動産を取得できるが、
合理的な市場においてそのような価格を提示できるのは、
当該不動産を利用することによる効用が最大となる使用方法、
つまり、
最有効使用を前提とした場合に限られる。
したがって、
不動産の価格は最有効使用を前提とした場合である。
なお
①ある不動産についての現実の使用方法は、
②必ずしも最有効使用に基づいているものではなく、
③不合理な又は個人的な事情による使用方法のために、
④当該不動産が十分な効用を発揮していない場合があることに留意する。
■変動の原則
変動の原則とは
一般に財の価格は、
その価格を形成する要因の変化に伴って変動する。
不動産の価格も、
多数の価格形成要因の相互因果関係の
組み合わせの流れである変動の過程
において形成される。
不動産の価格は常に変動の過程にあるため、
不動産の鑑定評価に当っては、
価格時点を確定することが必要である。
また、
不動産の利用形態が最適なものであるか、
仮に現在最適なものであっても、
時の経過に伴ってこれを持続できるかどうか、
これらは常に検討されなければならない。
①財の価格は、
その財の将来の収益性等についての
予測を反映して定まる。
②不動産の価格も、
価格形成要因の変動についての
市場参加者による予測によって左右される。
したがって、
①不動産の鑑定評価にあたっては、
②価格形成要因がどのように変化するかについて
③的確に予測しなければならない。
このためには
①常に価格形成要因の変動に注意を払う必要があり、
②この推移および動向を分析しなければならない。
価格時点と標準的使用と変動の原則
一般に財の価格は、
その価格を形成する要因の変化に伴って変動する。
不動産の価格も、
多数の価格形成要因の相互因果関係の
組み合わせの流れである変動の過程において形成される。
不動産の価格は常に変動の過程にあるため、
不動産の鑑定評価に当たっては、
価格時点を確定することが必要である。
また、
不動産の利用形態が最適なものであるか、
仮に現在最適なものであっても、
時の経過に伴ってこれを持続できるかどうか、
これらは常に検討されなければならない。
なお、
①不動産の属する地域は固定的なものではなく、
②地域の特性を形成する地域要因も
常に変動するものであることから、
③地域分析にあたっては、
④対象不動産に係る市場の特性の把握の結果を
踏まえて地域要因及び標準的使用の
⑤現状と将来の動向を合わせて分析し、
⑥標準的使用を判定しなければならない。
■代替の原則
不動産の価格は、
不動産の効用
相対的希少性
不動産に対する有効需要
の三者に影響を与える諸要因の
相互作用によって形成されるが、
①その価格形成過程を考察するとき、
そこに基本的な法則性を認めることが出来る。
②不動産の鑑定評価は、
その価格形成過程を追及し、
分析することを本質とするものであるから、
③不動産の経済価値に関する適切な最終判断に到達するためには、
④鑑定評価に必要な指針としてこれらの法則性を認識し、かつ、
⑤これらを具体的に現した諸原則を活用すべきである。
①代替性を有する二以上の財が存在する場合には、
これらの財の価格は相互に影響を及ぼして定まる。
②不動産の価格も、
代替可能な他の不動産又は財の価格と
相互に関連して形成される。
■均衡の原則と適合の原則
均衡の原則と適合の原則の関係
均衡の原則は、
「建物と敷地の規模の対応関係」等、
不動産の内部構成要素の均衡状態に、
適合の原則は、
「建物とその環境の適合の状態」等、
不動産とその外部環境との適合状態に、
それぞれ着目した原則である。
不動産は、
内部構成要素の均衡が取れており、
周辺環境にも適合している場合に、
その効用が最高度に発揮されるため、
均衡の原則・適合の原則は、ともに
対象不動産の最有効使用を判定するための有力な指針
といえる。